バングラデシュの教育、農業技術、環境保全のためのNGO

農業農村開発プロジェクト基本計画

 農業技術支援において、2006年度に「農業農村開発プロジェクト基本計画」を策定しました。

 

基本計画では、プロジェクト目標として次の4つを掲げています。
 a.バングラデシュの低所得農民の持続可能な農業と生計のための統合的営農組織モデルの確立
 b.アロアシャ学園の貧しい子供たちの援助
 c.農業者への高品質種子(QS)の供給
 d.農業技術普及員の訓練と農業技術指導

 

 このうち、フェーズ1(2007-2009)では、「c.農業者への高品質種子(QS)の供給」を中心に事業展開しており、これにより得られた収益で「b.アロアシャ学園の貧しい子供たちの援助」を実現しています。

 また、フェーズ2(2010-2012)において、「d.農業技術普及員の訓練と農業技術指導」に取組み、「a.バングラデシュの低所得農民の持続可能な農業と生計のための統合的営農組織モデルの確立」を目指す計画です。

 

 以下、基本計画(抜粋)を掲載します。

 

 ------------------------------


農業農村開発プロジェクト基本計画(抜粋)

(加藤清輝、M Monzur Hossain:2005-2006)

 

1.プロジェクトの名称
 農業農村開発プロジェクト(AFVDP:Agriculture and Farm Village Development Project)

 

2.プロジェクトの実施国名
 バングラデシュ人民共和国

 

3.プロジェクトの背景および趣旨
プロジェクトの背景:
 バングラデシュは東経88~99度、北緯20~25.5度に位置する。世界でも上位8位に入る人口の多い国であるが、日本の3分の1の大きさの土地に日本とほぼ同じ人口(1億4千万人)を擁する。バングラデシュは人口密度の最も高い国の一つであり、1平方キロメートル当りの密度は800人以上である。過去の高い出生率(1990年は4.5人)のおかげで若者の比率が高い。現在、総人口の約47%が15歳未満である。出生率は2005年には大きく下落し1.5人となった。しかし、総人口は2020年までに2億人になると見込まれている。

 増加を続ける人口が抱える貧困は、この国の食糧確保に深刻な課題を投げかけている。多くの見解では、約60%の人々が十分に栄養を採るだけの食料を購入できていると推定される。言い換えれば、約40%の人々は食料を十分確保できず、貧困線を割る水準での生活を送っていることを意味する。

 気候がバングラデシュの農業に与える影響は大きく、特にモンスーン(ベンガル語ではカリーフと呼ばれる)と乾季(ラビー)は作物の成育周期に対して重要な役割を担う。雨季の間、作物は灌漑なしで育つのが通常だ。しかし、乾季には灌漑が必要になることが多い。この季節の変化は定期的であるが、その度合いと長さは一定ではない。そして、農地の60%(1,300万ヘクタール)は洪水にさらされる傾向にあり、4分の1は干ばつの影響を受けやすい。その上、サイクロンが襲い、沿岸の平野付近では溺死や船の転覆といった損害をもたらすだけでなく、作物や土壌をも喪失する。これら全ての要素によって、バングラデシュは過密人口、貧困、あてにならない農業環境を抱える代表的な国として認識され、持続的な成長を維持することが非常に重い課題となっている。

 農業はバングラデシュ経済にとって主要産業であり、将来にわたり四季がある限りそうあり続けるだろう。人口の大多数が直接的または間接的に農業に依存している。2004年から2005年の推定では、15歳以上の人口で構成される総労働力の45%が農業(作物栽培、畜産、林業、漁業を含む)に直接携わっている。1989年には同比率が72%を超えていた。多くの問題や障害を抱えながらも農業改革は進められ、自然災害、社会政治的変化、人口増加、都市化、農業の新技術、地方における農業外分野での機会創出、市場主義化などのマクロ政策の変化、市場取引の自由化、公的機関の農業分野への介入の実質的減少といった出来事に対応しながら現在も進化を続けている。以前は農民の自給自足の営みとしての農業が大部分であったが、今日の農業はこれまでにないほど事業的活動という性質を強めている。バングラデシュの農業は、緑の革命以前は比較的停滞した産業だったが、緑の革命期を通して活発な分野へと躍進した。施設などのインフラストラクチャーが著しく整備されてきただけでなく、政府の規制から脱却する傾向へと転換してきた。例えば、ここ30年の稲作生産高は205%(1977年の1,100万トンから2000年の2,600万トン)増加し、作付集約率は180%増加した。それでも、農業における生産性と収入は未だ低い。農村部の貧困率は都市部に比べて高い(2005年では前者が53%、後者が37%)。このことから、緑の革命によるバングラデシュの発展は、均等に波及しなかったことが分かる。緑の革命の恩恵のほとんどは資源を豊富に持つ農家にもたらされた。どれだけの量の食糧を生産するかということよりも、誰がどこで生産するかのほうが重要な意味を持っているということが次第に強く認識されるようになってきた。資源を豊富に持つ農家が生産する食料を自給自足者が購入できないとすると、食糧事情や貧困の改善はないに等しくなる。バングラデシュのような国では、単に持続的な農業を行うことだけでなく、農業を基盤として貧困層や低所得農民の生活を維持していくことを優先して考えなければならない。少ない財力資源投下で自給自足する農民が生活を持続していくことのできる農業システムを開発することが、研究者に与えられた課題である。少ない投下で実現する自立型の組織的集合農場(ヴィレッジ・ファーム)モデルを開発することによってバングラデシュ農業が一歩前進し、自給自足する農民が生活を持続することが可能になる。

 

プロジェクトの趣旨:
 先進国の財政的インセンティブを基に農地に対して経営のハードを導入する流れが起こり、また第三世界諸国における人口圧迫が問題化したことによって産業化された農業が出現したが、緑の革命の成功や資源を基盤とした農業は、その礎が崩れかけている。土壌劣化、殺虫剤・化学肥料、地下水のヒ素による汚染、遺伝的浸食、化石燃料の枯渇、世界人口の11%以上(6億人)が飢えや栄養不良の状態に置かれている事実は、近代農業に基づき過剰に手を加えたことの矛盾の例の一部である。これらの例に見られる事実はバングラデシュではより生々しく、緑の革命が資源を豊富に持つ農家に対して利益を与えた一方で、資源に乏しい自給自足農民を置き去りにしてきたことは明らかである。

 バングラデシュは世界最貧困国の一つである。人口の大部分(80%)は未だ農村地域に居住しているが、緑の革命以来、食料生産においては著しい発展を遂げている。この30年で食糧生産は人口増加の圧力に対処するために何倍にも増やされた。農家は品種改良された米や小麦、トウモロコシなどの苗を使用している。土地はどんどん灌漑され、農薬(化学肥料や殺虫剤など)の使用量は増加傾向にある。しかし、この食糧生産の増加は農業資源基盤の大規模劣化なしには実現できない。著しい発展はインフラストラクチャー、特に道路やハイウェイ網の整備においても成し遂げられている。

 しかしながら、これらの発展を以ってしても、農業分野における生産性と収入は農業外分野と比較すると格段に低い。人口の40%(5,600万人)は依然として貧困線未満の生活を送っている。バングラデシュは、国連によって掲げられたミレニアム開発目標(MDG)を達成すべく、2015年までに所得貧困層を総人口の25%まで削減しなければならない。これはバングラデシュにとっては非常に困難な課題である。

 バングラデシュ農村地域の貧困とともに、農民が近代農業技術に関して無知であることが2015年までのMDG達成の大きな障害になっているということはより強く認識されつつある。2015年までには低いMDGをクリアするべく開発を進めなければならない。バングラデシュの貧しい自給自足農民が生活を維持していくことができるような、省力で高い利益を生む農業システムの開発が必要である。モデル農場の開発は、バングラデシュの自給自足農民の生活維持のための農業システムの一例となるものである。

 提起するプロジェクトの主要な目的は、モデル農業を基盤とするヴィレッジ・ファームを設立し、これにより持続的な農業を実現するだけでなく、バングラデシュの貧しい農民が農業を通して継続的に収入を得て生計を立てることを実現するものである。提起するファームは、その活動と周辺地区に住む農民の生計活動を記録するメインセンターとして機能する。そして、種子、野菜、魚、家禽類、乳製品、生物利用の肥料や殺虫剤といった様々な農業商品のデモンストレーション及び生産ユニットとして、単位面積当り最大限の生産から最大限の利益を確保することに貢献するものとなる。ファームでは農民とアロアシャ学園の学生に対してトレーニングを行い、少ない資本投下による持続的な組織的農業の構築方法、特定の季節に適した利益を確保する作物の選定方法、自然災害回避のために必要な異種作物の同調栽培技術、市場取引されないものの費用と収益に関わる費用便益分析の実施方法、村の共通認識(感情、モラル、リーダーシップ)の評価方法、長期蓄積してきた農民の持つ知識の伝承方法、近代農業器具の使用法、近代コミュニケーションシステム(コンピュータやインターネット)を利用した先進国農業者の持つ知識の共有方法といった事柄を特に伝えていく。また、提起するファームは恵まれない環境にいる若者や、特にアロアシャ学園卒業生に対してトレーニングや雇用機会を提供していく。

 ここに提起する農業農村開発プロジェクトが実施されれば、バングラデシュの農業生産及び自給自足農民の生活収入の増加に大きく貢献し、将来的には2015年までのMDG目標の達成に寄与するものと期待される。

 

4.プロジェクトの目的
 a.バングラデシュの低所得農民の持続可能な農業と生計のための統合的営農組織モデルの確立
 b.アロアシャ学園の貧しい子供たちの援助
 c.農業者への高品質種子(QS)の供給
 d.農業技術普及員の訓練と農業技術指導

 

5.プロジェクトの期間
 フェーズ1:3年間
 フェーズ2:3年間

 

6.プロジェクトの実施場所
 ラシャヒ地方

 

7.プロジェクトの対象者
 a.低所得農民
 b.貧しい子供たち

 

8.予想される成果および指標
 a.多くの低所得農民の食料と生活の改善
 b.持続可能な農業の増進

 

9.プロジェクトの検証と評価法
 a.1エーカー当りの収穫高
 b.年間の純益分析
 c.年間のサービス市場分析
 d.毎年の損益分岐点分析

 

10.プロジェクトの予算
 省略

 

11.プロジェクトの実施体制
 アロアシャ技術協力会(ATSS:AloAsha Technical Support Society)

 

12.プロジェクト作業プランの概要
活動1: インフラストラクチャーおよび能力開発
 提起する農業農村開発プロジェクト(AFVDP)は、通信および電力供給の整った環境の農村に展開される。これは様々な活動と多くの人の努力が集約してなされる総合的プロジェクトである。プロジェクトの成功と継続的運営を念頭に全ての活動と関わる人々を的確に調整するためには、道路、土地、建物、交通手段などの適切なインフラストラクチャーを整備する必要がある。

 

活動2: AFVDPにおける養殖および水産
 バングラデシュと言えば「米と魚」であり、魚はバングラデシュの主要な動物性蛋白質の摂取源である。かつては河口付近や川には水が豊富であり、年間を通して世界でも有数の水田および漁業の地となっていた。昨今では、ほとんどの水が乾季には干上がる。その結果、ほとんどの漁場が魚の生命を維持するのに適しない場所となってしまっている。以前は魚の8割が天然のものであった。しかし現在の状況は厳しく、8割は養殖または輸入に頼っている。従って、養殖場と孵化場の設立がバングラデシュの魚生産増加に寄与する。

 

活動3: ミルク生産のための酪農場の設立
 栄養不良はバングラデシュにおいて多く見られる問題である。50%以上の子供がミルクの供給不足を理由とした栄養不良に苦しんでいる。従って、ミルク生産のための酪農場開発はバングラデシュ国民の健康状態改善に寄与する。

 

活動4: 有機農業のための農業廃棄物を利用したバイオ肥料生産
 現在のバングラデシュ国内で行われている農業では、化学肥料や病気抑制のために農薬に頼るケースが多い。土地の過剰使用と共に何十年にも渡り農薬を無差別に使用してきたことによって、土壌および環境は深刻な打撃を受けている。農薬の継続的な使用により土壌に生息する微生物は極端に減少し、これによる病原体の増加により良好な環境が失われている。その上、悪質なバイオ肥料の不適切な使用により生産性の低下と同時に病気発生増加の問題が国のあらゆる場所で顕在化している。更に、化学肥料や農薬は昨今の価格高騰により高価な商品となりつつあり、低所得や極貧の農家にとっては次第に手の届かないものになってきている。生産コストは独立以来何倍にも膨れ上がっている。農業生産物の価格上昇は均一に波及せず、不公平を生み出している。その結果、特に規模の小さい農業分野の利益は減少、または無に等しくなっている。小規模農家または低所得農家の置かれている状況は特に厳しい。従って、環境にやさしい低コストの有機農業を基礎とした農業システムを開発し、土壌生産性の回復と病気や害虫の制御を図る農業を行うことが、バングラデシュで現在必要とされている。環境にやさしく安価な有機農業を基礎とした作物栽培は、既に先進国では十分開発が進んでいる。

 トリコデルマ(糸状菌類)のような土壌微生物を利用することで、土壌生産性の回復や植物の病気制御に成功している。トリコデルマ属をはじめとする多くの有益な微生物は、有機作物の「自然な」防衛法と作物生産の基礎となるものである。作用機構の観点から分類すると、トリコデルマには2つの性質がある。
①トリコデルマは様々なセルロース分解酵素を分泌し、有機廃棄物の分解を促進する。
②寄生微生物として多様な抗菌物質を分泌することにより、特に土壌に発生する病原菌類などの微生物に対抗する。
この作用機構を利用して、BDRUとNDSはトリコデルマを用いた3種類の製品を開発した。これらの製品は土壌生産性を高め、土壌に発生する病原体に対する対抗菌剤(微生物農薬)として機能する。

 

活動5: 農家の協力による良質な種子(QS)の生産
 貧困線を下回る生活を送る国民の割合は1983年~84年の62.5%から2005年の40%まで減少したが、バングラデシュにおける農業分野の伸びは4%強に留まっている。7%のGDP成長率は、2015年までに貧困層を50%削減するというMDS(ミレニアム開発目標)達成のために維持していかなければならないラインである。都市化、天然資源の悪化、人口密度の増大、グローバル・マーケットの成熟が原因で耕作用地の縮小は続き、バングラデシュ農業は大きな試練に直面している。良質の種子の不足や種子、肥料、灌漑設備用燃料、殺虫剤の価格の高止まりといったネガティブな内部要因がある一方で、商品価格は低下している現実がある。良質の種子(QS)の供給を増加させることは、農業生産を拡大し農家の利益幅を増加させることに繋がる。他の条件を同じにした場合のQS使用作物の収穫高は全体の15~20%となる。主要な作物のQS需給ギャップを表したものが表1である。

表1:2003~2004年の良質種子の需給量と供給量および2014~2015年の予想目標(単位:ton)

作物名

2003-2004

2014-2015

需要量

供給量

需要量

供給量

割合

政府

民間

政府

民間

種イモ

430,500

9,123

3,625

12,748

450,000

24,300

65,700

90,000

20%

モミ

337,750

20,621

1,246

21,867

355,285

36,370

6,380

42,750

12%

トウモロコシ

980

160

500

660

1,900

320

1,580

1,900

100%

小麦

79,200

12,446

336

12,782

72,000

17,220

1,500

18,720

26%

野菜

1,923

14

614

628

2,268

20

1,460

1,480

65%

豆類

18,182

125

60

185

18,571

720

370

1,090

6%

油料作物

9,033

247

20

267

9,656

850

200

1,050

11%

4,560

367

650

1,017

4,500

680

1,480

2,160

48%

882,128

43,103

7,051

50,154

914,180

80,480

78,670

159,150

17%

 種子を扱う民間企業のほとんどは、種子を生産することよりも輸入を好む。種子取引業者が野菜の種子の大部分を輸入しているために価格は高い。民間企業が持つこの傾向は、種子生産過程に内在する要因によって増幅される部分がある。つまり、最適な条件下で処理および保存するためには高度のインフラストラクチャーと巨額の資本が必要であり、ほとんどの民間企業およびNGOではこれを準備できないということである。バングラデシュにおける種子に関する問題解決のためには、外部からの援助なしでは実現がほぼ不可能である。政府、民間セクター、NGOおよび農家が協調して努力することが、QS生産のためにこれまでになく重要なものとなってきている。

 自給自足農家が参加してQSを生産することが、提起する農業農村開発プロジェクト(AFVDP)の主要目的の一つである。AFVDP開始時点では、米、トウモロコシ、ジャガイモ、イチゴのQS生産ファームを設立する。また、ジャガイモとイチゴの種子生産の目的で近代的なマイクロプロパゲーション(細胞培養)研究所を設置する。将来的にはQS生産施設を拡大し、他の重要な野菜やスパイス作物のために使用する。植物繁殖用の栽培所を設置し、重要な果実、樹木、鑑賞植物の苗木生産を行う。QS生産活動の詳細は、個別の作物に分けて以下に述べる。

 

活動5.1: QS生産用インフラストラクチャーおよび能力開発
 乾燥、包装、貯蔵など、収穫後の種子処理施設はQS生産と一体となる部分である。従って、AFVDPでは既述の作物のQS生産を実施するためにこれらの施設を必要とする。

 

活動5.2: 高蛋白質トウモロコシ一代交配種の種子生産
 バングラデシュの家畜産業は著しい発展を遂げている。現在、家畜用えさ産業向けのトウモロコシの年間需要は約100万トンであり、その70%は輸入されている。同時に、バングラデシュのトウモロコシ生産も急激に増加している。バングラデシュではトウモロコシ交配種の種子に対する需要は大きい。交配種トウモロコシの種子生産は、自給自足農家の利益幅を増大させることに大きく寄与するものと考えられる。

 

活動5.3: AFVDPにおける栽培・繁殖センターの設立
 多様な果実や樹木を授けられた亜熱帯気候を持つバングラデシュでは、マンゴー、ジャックフルーツ、ライチ、パパイヤ、バナナ、プラム、グァバなど、様々な果実が広い地域で育つ。しかし、これらの果実種のほとんどは遺伝的に異型接合体(ヘテロ)である。異型接合体の果実を実生繁殖させる方法では、母樹の形質を確保できる保証がない。従って、これらの果実種については栄養繁殖が好まれ、商業用に活用されている。また、選ばれた高品質の素材を栽培するためには、園芸用繁殖施設が必要である。たくさんの果実種の遺伝子型を得るための高品質の植物素材がバングラデシュでは強く求められている。

 

活動5.4: 種イモおよびイチゴ用組織培養研究所の設立
 ジャガイモ、バナナ、ラン、イチゴ、サトウキビなど、主に栄養繁殖を利用する作物は数多い。これらは遺伝的に病気にかかりやすいが、特にウイルス性の病気に非常にかかりやすい。従って、これらの植物素材の生産方法と病気管理には特別なケアや技術を要する。多くの先進国では、これら作物のQS生産と維持のために最先端の組織培養技術を発展させている。故に、組織培養を柱とするマイクロプロパゲーション研究所を設立することが、バングラデシュにおけるこれらの作物生産の拡大に繋がることは確実である。

 

活動5.5: 組織培養による種イモ生産
 バングラデシュでは種イモが非常に不足している(表1)。ジャガイモ生産はウイルス性の病気に大きく影響を受ける。ウイルスに感染しない種イモの生産を実現するためには組織培養技術が必要である。種イモ生産のための植物組織培養の活用状況は、バングラデシュにおいては大変限定的である。従って、病気に強い種イモ生産の実現により、バングラデシュにおける単位面積当りのジャガイモ生産高は拡大する。

 

活動5.6: バングラデシュにおけるイチゴ生産
 イチゴは大変コストのかかる果実で、バングラデシュでは一般的ではない。イチゴはタイから輸入され、スーパーマーケットで800タカ/kgで売られる。バングラデシュでイチゴを生産する際、短い冬、乾燥した夏、高湿なモンスーン気候が主な障害となる。ラシャヒ大学植物学部育種・遺伝子工学研究室は、バングラデシュの気候で栽培するのに適した二つのイチゴ栽培品種を開発した。これら二つの栽培品種を用いたイチゴの商用生産は、バングラデシュの商品業界に付加価値利益をもたらすこととなる。

 

活動6: 能力開発のための訓練、研究、開発など
活動6.1: 農場廃棄物を利用したバイオ肥料および植物病の微生物学的な管理に関する農家の訓練
 有害な化学肥料の使用に代えて有機肥料を使用することに関して、適切な知識とその重要性を農家に与えることは、土壌の豊かさとその健康を向上させるために必要な最重要事項である。これに加えて、特に土壌に発生する病原の制御と管理が作物生産にとって重要であると言える。従って、ここで提起する訓練は、農家が各々の土壌肥沃度を向上させ、更に病気の管理に関する知識を増やすことに寄与するものである。

 

活動6.2: 種子生産および有機農業についての農業技術普及員に対する訓練
 農家レベルにまで技術を移転するためには、訓練された農業技術普及員が強く求められる。従って、画期的な先進技術を農家に伝えるために、農業技術普及員を訓練することが先決である。

 

活動6.3: 害虫防除のための臨床的研究および農業技術普及員の害虫診断能力の向上、適正防除の訓練
 近年バングラデシュでは、成長が早い外来樹木を街路樹として使用するため、輸入苗の増加が著しい。しかし検疫技術水準がいまだ低いことから、樹木とともに付着している昆虫の発見が困難を極めており、輸入街路樹だけでなく在来樹木の枯死が深刻化している。本調査中においても、害虫被害を病的被害と見誤る大学の研究者がいた。これは害虫被害の臨床的研究がほとんど行われていないことを意味しており、このことは一般的な農作物についても同様である。また、長年の画一的な農薬使用による耐農薬性害虫の発生さえ見られる。1月末にヒマラヤから南下するアブラムシやアザミウマはウイルス媒介昆虫であるが、耐農薬性が認められた。害虫被害を的確にコントロールすることにより、農作物の増収や環境への配慮に寄与するものである。

 

活動6.4: 知識マネジメントおよび情報管理に関する訓練および能力開発(コンピュータとIT)
 人材は組織的発達の必須条件である。AFVDPの科学者や技術スタッフの知識マネジメント、ITおよび言語運用力に関する能力開発を行う。

 

活動7: 農地の灌漑排水
 気候のバングラデシュ農業に与える影響は大きく、特に雨季と乾季は作物の成育周期に対して重要な役割を担う。雨季の間、作物は地下水位上昇のため病気を誘発しやすくなり、一方、乾季には干ばつ被害に見舞われる。

 また、バングラデシュでは緑の革命による農業近代化とあいまって、乾季の干ばつ被害対策として大量の地下水くみ上げが行われており、これが原因の一つといわれている砒素被害が報告されており、この対策が求められている。

 

(以下、省略)

 


Bangladesh

Japan

アロアシャプロジェクト
〒990-2339
山形県山形市成沢西2-4-8
電話&FAX: 050-7516-7170
携帯: 090-3649-6127 (教育担当)
        090-9740-4857 (農業担当)
        090-6253-8442 (環境担当)
Eメール: info@aloasha.org